このごろの 写真家 中島宏章がわかります。
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自然写真家とは一体何ぞや? 自然写真の存在意義

「自然写真の平成30年とフォトグラファー 進化するネイチャーフォト」
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682267

デジタル時代に入った自然写真と自然写真家をまとめた本です。


この本は、SSP(自然科学写真協会)会長の海野和男さんが小学館の社長に直談判したことで、企画が決まりました。
現役の自然写真家が11人で、自分のジャンルを受け持ち、執筆しました。
僕は「動物」カテゴリを執筆しました。

 

 

海野さんがこの本についてブログで語っています。
「どうしてこのような本を企画したかと言えば、以前、ある写真研究者にインタビューを受けた時に、現在の自然写真家について、あまり知られていないことに危機感を持ったからだ。」
https://www.goo.ne.jp/green/life/unno/diary/201904/1554943897.html

 

この、ある写真研究者というのは、『自然写真家』について研究をしている北海道大学の学生さんのことで、
彼は自然写真家に直接会ってインタビューを行っていました。

僕は彼の研究に大変興味を持ち、何人もの自然写真家を紹介しました。
ちゃんと自然写真家のことを研究してほしいと思ったから、僕が尊敬する、ちゃんとした写真家さんを紹介しました。
海野さんもそのうちの1人で、ぜひ彼には海野さんの話を聞いてもらいたいと、そう思っていました。

 

そんな彼の研究が晴れて論文になったそうです!!(パチパチパチ)

イギリスの「Environmental Communication」という学術誌に掲載される予定です

(印刷中:http://dx.doi.org/10.1080/17524032.2019.1572638


題名が、
「Understanding Nature through Photography: An Empirical Analysis of the Intents of Nature Photographers and the Preparatory Process」
つまり、
「写真を通して自然を理解する:自然写真家の意図とその準備過程に関する実証分析」
自然写真家は、写真を撮る前の段階において、何を思い、何を調べ、何を意図して作品にしようとするのか?
それを研究したということになるのでしょうか。

 

論文の中では、
自然写真のraison d'être(存在意義)に触れていて、

つまりそれは、自然写真家を自然写真家たらしめるのは一体何ぞや?ということであり、
自然写真家の撮影前の準備段階を経ての撮影行為(被写体を徹底的に探求し、自然の仕組みを理解しようと、もがいた先にある撮影行為)こそが自然写真のraison d'êtreだとしている点に、僕も激しく同意をせざるをえません。


有名どころに行ってパッと撮りしたような質的保証のない写真と、写真家の研究成果や意図や想いが裏に込められている写真とは、なかなか見分けるのは難しいこと。
写真を扱うメディアなどは、素材としての自然写真にしか気が向いていないのかもしれないが、自然写真のraison d'êtreをお忘れなく、少しは写真の背景にあることにも注目をしていきましょう。
という指摘がされています。

 

興味深いのは、考察が3ブロックに分かれていて、
ー然写真家は撮る前に自然科学的知見を取り入れている。しかし、科学を鵜呑みにしているわけではない。写真家として写真で表現をすることに、写真家のアイデンティティがある。
⊆然写真家は葛藤を抱えている。自分はいわゆるカメラマンとは違うんだ。自主的に作品を撮っている。意図があって、自分のメッセージがあって撮っている。ゆがめられないで伝わって欲しいと願っている。
C韻覆訌悩爐箸靴謄瓮妊アは写真家の作品を使ってしまう。時には写真家の意図やメッセージがゆがめられたり、ふせられたりしてしまう。写真のウラにあるメッセージやバックボーンを気にしましょう。
といった感じ。

 

「科学論文をただ単にビジュアル化するのが自然写真家の仕事とは思っていない」


写真展をしてもいつも技術的なことばかり聞かれる(レンズは?カメラは?フラッシュは使いますか?など)が、

本当は「なぜあなたはこの写真を撮ろうと思ったのですか?」という内面について聞いて欲しい


このようなところから考察が導き出されている点に注目をしたいと思います。

 

 

地球環境の保全を考える際に、技術的な面(例えば、どうやって二酸化炭素を減らす?どうやったら有害物質の除去ができる?など)だけではなく、人間の内面、意識、社会の声、もとっても大切になると思います。

そのときに、自然写真家や自然写真を取り扱うメディアなどの役割はもちろん、重要になってくるわけですよね。

まさに、「Environmental Communication」(環境コミュニケーション)ですね。

 

 

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